強制執行の費用について

元請け会社や取引先が契約通りに、お金を支払ってくれないときに役立つのが強制執行手続きです。

強制執行は、訴訟を提起して判決を得た上で、裁判所が強制的に債権回収を行ってくれる仕組みです。

しかし、強制執行を行うには費用がかかります。貴社で強制執行を行いたいけど、どれぐら費用がかかるか不安という悩みのために本記事では強制執行に要する費用を分かりやすく解説します。

(執筆者)弁護士 坂尾陽(Akira Sakao -attorney at law-)

2009年      京都大学法学部卒業
2011年      京都大学法科大学院修了
2011年      司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~     アイシア法律事務所開業

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1.     強制執行にかかる裁判所費用

 

強制執行は、強制執行の対象となる財産ごとに以下の通り種類があります。

  • 不動産執行
  • 債権執行
  • 動産執行

(参考)強制執行による債権回収の種類・メリットや注意点を解説

 

しかし、共通して言えるのは裁判所を利用する必要があると言うことです。

裁判所を利用するには、各種の費用が掛かってきますので、どの程度費用が生じるか予め確認することが欠かせません。裁判所費用は具体的には、予納金と収入印紙に関する代金、そして郵便代金が必要となります。

 

1.-(1)  裁判所費用を債権者が負担するのか?

 

お金を支払わない債務者が悪いのであって、強制執行に必要な裁判所費用を債権者がなぜ負担するのかと思われるかもしれません。

この点について、強制執行の費用は債務者の負担とされています(民事執行法42条)。従って、裁判所費用は最終的に債務者に請求することができます。

しかし、現実的には強制執行を始めるときに様々な費用が生じます。この費用は債務者が支払うわけがないので、最初の段階では債権者が立替払いすることになっています。

ただ、強制執行自体が失敗した場合には強制執行の裁判所費用も回収ができません。費用倒れになるリスクがあることは十分留意する必要があります。

 

1.-(2)  予納金

 

まず、予納金は裁判所が強制執行を行うための費用を前もって支払うものです。強制執行において差押えをするための費用は、まずは債権者に支払ってもらおうと言う考え方になります。

強制執行の予納金は裁判所費用のうちで最も高額になるものです。裁判所が差し押さえをするための執行官手数料、執行業者費用、交通費、郵便代などが含まれます。

差し押さえの対象財産や手間がどれぐらいかかるかによって金額は異なりますので、事案内容に応じて予納金の額を予め確認されることをお勧めします。

 

1.-(3)  収入印紙

 

次に収入印紙代ですが、これは民事訴訟などのために裁判所を利用すると、手数料として請求されるものです。強制執行の申立てについては、不動産執行・債権執行・動産執行のいずれについても基本的に4,000円の収入印紙を貼る必要があります。

 

1.-(4)  郵便切手代

 

最後に郵便に関する費用です。裁判所では差押命令正本送達など、法的効力を持つ文書を郵送する機会がしばしばありますので郵便費用も支払うことになります。

郵便費用は高額にならないことが通常で、収入印紙よりも低額になると考えて良いでしょう。実際の金額は裁判所に事前に確認する必要があります。

(参考)予納郵便切手一覧表(債権執行)

 

 

以上の点を踏まえて、実際に幾らぐらいの費用が必要なのかについては、執行の種類によって異なってきますので、個別に確認して行きましょう。

 

2.     債権執行に必要な費用

 

債権執行は、不動産や動産のように対象物が存在しない権利に対する強制執行です。現実的に不動産などを処分する必要がないため予納金が不要であり、強制執行費用は全体的に低額になる傾向があります。

 

債権を対象とする強制執行は、例えば、債務者の預貯金債権や取引先に有している工事代金や売掛金の請求権を差し押さえます。

これだと、手続き的には相手の預貯金がある金融機関や、売掛債権を持っている第三者に対し、裁判所が直接に支払いを求めていくだけですので、予納金は不要と言うことになります。

したがって、債権執行では基本的には4,000円の収入印紙代に加え、数千円程度の郵便費用で執行を行うことができます。

 

3.     不動産執行に必要な費用

 

逆に、不動産や動産は物を回収してきて、競売に掛けるような手続きが必要なので、手数料として予納金が発生するわけです。

不動産執行は、債務者が持つ土地や建物などを裁判所が取り上げて競売にかけ、その代金で債権者が満足を得ると言うのが、基本的な仕組みです。別名として不動産競売と呼ばれる制度でもあります。

 

この制度は不動産を差し押さえて競売すると言う、大掛かりな手続きが必要となりますので、予納金が高額になりやすいです。場合にもよるものの、60万円を基本として100万円を超えることも多いため、不動産執行を検討する時には費用不足に陥らないように注意が必要でしょう。

 

他にも、不動産登記にかかる登録免許税が要求されますが、これは確定請求債権額の4/1000で計算されます。加えて収入印紙代は4,000円、数千円程度の郵便費用がかかるため、色々ある強制執行の中では、もっとも費用が嵩みやすいのが特徴です。”

 

4.     動産執行に必要な費用

 

動産執行は、相手方の所持している物を回収してきて競売に掛けると言う手段です。相手方の自宅などに人を派遣して、物を回収してきますので、こちらも予納金が必要です。どの程度の額になるかは一概に言えませんが、3万円からが必要で、5万円程度になることも多いと考えておいて良いでしょう。もちろん、回収金額に応じては更に高額になる可能性もあります。

これに加えて、他の方法同様に、4,000円の収入印紙代と郵便費用が必要です。この方法を考える際には、どこまでを動産に含むか、と言う点で問題がありますので気をつけましょう。自動車や家財道具はもちろんですが、小切手などの有価証券、場合によっては現金も含まれてきます。

 

5.     弁護士費用も確認しよう

 

強制執行を弁護士に依頼をした場合には、弁護士費用も必要になります。弁護士事務所を比較してみると、料金に関しては定額を設定しておらず、回収金額に応じて数%の着手金と同額程度の報酬金を弁護士費用に設定しているのが一般的です。

 

弁護士費用を払ってまで弁護士に依頼するか悩まれるかもしれませんが、弁護士のサポートには大きなメリットがあります。

弁護士は法律に詳しいのはもちろんのこと、それ以上に債権回収に関してノウハウを持っている方も少なくありません。

 

強制執行では、裁判所に申し立てて勝訴はしたものの、充分な債権回収が行えなかったと言う事例はままあります。

これは何故かと言うと、債務者のほうが巧みに財産を隠したりして、執行を免れる対策を取ることも多いからです。この点、債権回収に強い弁護士は、相手方の財政状況を調査して、その財産をしっかりと調べ上げてくれます。どの程度の財産を持っているかを具体的に把握できますから、強制執行を不発に終わらせないためには有益なわけです。

 

弁護士に依頼せずに強制執行が失敗に終わると裁判所費用等で大きく損をする可能性があります。それであれば、弁護士費用を支払ったとしても、それを差し引いて余りある額の債権を回収できる方が良いケースも少なくありません。

 

また、弁護士は色々な手段を知っているため、強制執行を行うまでに、他のソフトで低負担な方法での解決を目指せるのも魅力です。

 

 

6.     まとめ:執行費用に悩んだ時には

 

各種の強制執行に必要な費用について見てきました。色々な費用が必要な上、これらを支払っても充分な回収が行えないケースが有るため、不安に感じる方も少なくは無いかも知れません。

もしも、強制執行に関して不安や疑問があれば、弁護士の無料相談や電話相談を検討してみると良いでしょう。特に債権回収での実績をあげている事務所を選べば、有意義なアドバイスを期待できるはずです。

なお、強制執行の手続きや流れについては下記記事も参考にしてください。
(参考)強制執行の手続きや流れを分かりやすく解説

 

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